南国リゾートで
真っ白い砂浜が沈みゆく太陽に朱く染まっていた。よせてはかえす優しい波が時々僕の足を濡らす。よく透き通った透明の海水が夕焼けを反射してキラキラとどこまでも光っている。空に雲はなく、風は優しく頬を撫でる。優しい海風が日中強い日差しにあたった僕の肌を優しく癒やしてくれる。
ただ何も考えずになぎさをゆっくり歩く。僕の足跡が白い砂浜に少しだけ残って、すぐに波に消される。サンダルの上からかぶる波が、運んできた砂で足の指を洗う。すこしだけ指の間に残った白い砂、それさえも気にならなくて、ただ僕は潮騒のリズムを楽しんでいた。考えることは何もない。すべてが喜びに満ちた一日がゆっくりと沈もうとしている。視界の端で彼女が僕に向かって手を振っている。小さな、けれども居心地の良いコテージが僕達のために用意されていた。
きっともうすぐ夕食なのだろう。エアコンの効いた部屋、シンプルに調理された新鮮なシーフード。
そして電気を消せば、しおさいが二人の部屋を満たし波間に反射した月明かりが大きな窓越しに部屋に差し込んで揺れるだろう。サイドテーブルに置かれたカクテルグラス。
ああ、僕は幸せだ。そう噛みしめて彼女とコテージを目指す。ボクの足あとはすぐに波に消されていった。満月、大潮、優しい波が静かに僕達のコテージに近づきつつあった。